大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1217 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人堤牧太同松尾菊太郎の上告趣意第一点について。

所論の弁護人堤牧太の控訴趣意第一点の論旨は第一審判決はその擬律の部におい

て判示の法条を羅列したのみであつて、刑法四七条の適用上判示第一の(二)の(

イ)乃至(ホ)の各個の事実中いずれを最も重きものとしてそれに法定の加重をな

した刑期範囲内において主文の刑を量定処断したのか全然不明であるから、これを

是認した原判決には結局理由を附せない違法があるというにとどまつて、刑法施行

法三条三項の適用について何等主張していないのであるし、原判決も、また、刑法

四七条、一〇条に則り所論の第一審判決の判示第一の(二)の(イ)乃至(ホ)の

事実中、犯情最も重い(ハ)の食糧管理法違反罪の刑に法定の加重をなし、刑期の

範囲内で処断したものと解されるので、第一審判決には所論のような理由不備がな

い旨説示しているにとどまることは判文上明らかなところであるから、原判決は所

論に指摘する当裁判所の判例に反する事実上又は法律上の判断は毛頭していないも

のといわなければならぬ。されば原判決が当裁判所の判例に反する判断をしたもの

と仮定して原判決をとらえて判例違反の主張をする論旨はその前提を欠き、とるを

えないから論旨は刑訴四〇五条二号にあたらないし、また、同四一一条を適用すべ

きものとも認められない。

同第二点について。

しかし刑訴四一一条の規定は単に職権発動の場合を規定したものでない旨の論旨

は原判決に対する違憲乃至判例違反の主張でないのみならず、同条は上告理由を定

めたものでなく、職権による破棄理由を定めた規定であると解すべきことは当裁判

所の判例(昭和二四年新(れ)第五号同年七月二二日大法廷決定判例集三巻八号一

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三六九頁参照)とするところであるから、論旨は適法の上告理由とすることはでき

ない。なお量刑不当の論旨はとるをえないし、記録を精査するも本件は刑訴四一一

条を適用して原判決を破棄しなければ著しく正義に反する場合とも認められない。

よつて刑訴四一四条三八六条一項三号に従い全裁判官一致で主文のとおり決定す

る。

昭和二六年四月一九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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